Javaが遅い原因と対策(コレクション編)

目次

はじめに

Javaでシステムを開発していると、「Listの処理がやたら遅い」「Mapの検索がボトルネックになっている」
──そんな場面に遭遇したことはないでしょうか。

実はその多くは、コレクションの使い方や選び方が適切でないことが原因です。
Javaは非常に高機能な言語ですが、使い方を誤ると簡単にパフォーマンスの落とし穴にはまってしまいます。

この記事では、Javaのコレクション操作が遅くなる代表的な原因と、それをどう改善すればよいかについて、実務経験に基づいてわかりやすく解説します。

なぜJavaのコレクション操作は遅くなるのか?

Javaは高性能な言語ですが、間違ったコレクションの使い方をすると簡単にボトルネックが生まれます。以下のようなケースに心当たりはありませんか?

  • ArrayList に大量の要素を追加していたらメモリ消費が増えた
  • List#contains() を頻繁に使っていたら処理が重くなった
  • HashMap から値を取得するだけなのに妙に遅い

これらの現象は、いずれもコレクションの特性を理解せずに使用していることが原因である場合がほとんどです。

言い換えれば、正しいデータ構造を選び、適切な方法で操作すれば、こうしたパフォーマンスの問題は避けられるのです。

よくあるコレクション操作のボトルネックと対策

Javaのコレクションは非常に柔軟ですが、その反面、用途に合わない使い方をすると簡単に性能が低下します。
ここでは、実際の開発現場でよく見られるボトルネックと、その具体的な対処法を紹介します。

1. List#contains() の多用

List#contains() は、リストの先頭から順に要素を探す線形探索(O(n))です。
大量データに対して頻繁に呼び出すと、処理が著しく遅くなります

✅ 対策:

重複チェックや存在確認が主目的であれば、HashSet を使いましょう
contains() の平均計算量は O(1) なので、圧倒的に高速です。

Set<String> set = new HashSet<>();
if (set.contains("target")) {
    // 高速に判定可能
}

※ 独自クラスを Set の要素として扱う場合は、equals() および hashCode() を正しく実装する必要があります。

2. LinkedListの使用

「挿入・削除が多いなら LinkedList」という通説がありますが、実際に性能差が出るのは先頭・末尾への操作に限られます
中間アクセスや検索があると、むしろ ArrayList より遅くなることがほとんどです。

Googleの静的解析ツール Error Prone でも、LinkedList の使用は非推奨とされています。

LinkedList almost never out-performs ArrayList or ArrayDeque1. If you are using LinkedList as a list, prefer ArrayList. If you are using LinkedList as a stack or queue/deque, prefer ArrayDeque.

✅ 対策:

  • 通常のリスト用途 → ArrayList
  • スタック/キュー用途 → ArrayDeque

3. 初期容量を指定していない

ArrayListHashMap は内部的に自動的に容量を拡張しますが、これには再割り当てやコピー処理が発生し、性能に悪影響を与えます。

✅ 対策:

あらかじめ要素数の見積もりができるなら、初期容量を明示的に指定しましょう。

// 悪い例(デフォルトのサイズ10で始まり、途中で拡張)
List<String> list = new ArrayList<>();

// 良い例(初期容量を適切に設定)
List<String> list = new ArrayList<>(1000);

4. 同期されたコレクションを無条件に使っている

VectorCollections.synchronizedList() はスレッドセーフですが、シングルスレッド環境では不必要な同期処理が発生し、パフォーマンスが悪化します。

✅ 対策:

  • マルチスレッドが不要なら、非同期の ArrayListHashMap を使用
  • マルチスレッド対応が必要なら、ConcurrentHashMapCopyOnWriteArrayList などの並行コレクションを選択

まとめ:Javaの遅さは使い方次第で解消できる

「Javaは遅い」と言われることがありますが、実際には適切なコレクションの選定と使い方次第で、パフォーマンスは大きく改善できます。
特に以下のようなポイントに注意するだけでも、日常的なコードの処理速度やメモリ効率は確実に向上します。

✅ 本記事のポイントおさらい

  • 重複チェックや検索には SetMap を使うのが基本
  • ArrayListLinkedList の違いを理解し、場面に応じて使い分ける
  • イテレーション方法や初期容量の指定など、細かな点も見逃さない
  • スレッドセーフなコレクションは、本当に必要なときだけ使う

💡 小さな改善が、大きな差に

JavaのコレクションAPIは非常に強力ですが、何も考えずに使うとパフォーマンスの落とし穴にはまりがちです。
逆に、ボトルネックに気づいて改善するだけで、体感速度が劇的に向上することもあります。

Javaの処理速度に悩んでいるなら、「言語の限界」ではなく「使い方の最適化」が解決のカギになるかもしれません。
ほんの少しの意識と工夫で、Javaはもっと速く、もっと快適になります。

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