【Java】インスタンス初期化ブロックは使うべきか？

2025年5月24日

Javaでクラスの初期化処理を行う際、開発者はしばしばコンストラクタやフィールド初期化を使いますが、「インスタンス初期化ブロック」という選択肢も存在します。
しかし、この機能は使用方法を誤ると、可読性や保守性に悪影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、Javaの初期化ブロックとは何か、そのメリット・デメリット、そして現場で使うべきかどうかについて、Javaのベストプラクティスに基づいて詳しく解説します。

初期化ブロックとは？

Javaには以下の2種類の初期化ブロックがあります。

種類	説明	実行タイミング
インスタンス初期化ブロック	インスタンス生成時に毎回実行される	コンストラクタの前
静的初期化ブロック	クラスロード時に一度だけ実行される	クラス読み込み時

本記事で取り上げるのは、インスタンス生成時に実行されるインスタンス初期化ブロックです。

public class Example {
    private int value;

    {
        value = 100; // 初期化処理
        System.out.println("インスタンス初期化ブロックが実行されました");
    }

    public Example() {
        System.out.println("コンストラクタが実行されました");
    }
}

インスタンス初期化ブロックのメリット

1. 複数コンストラクタでの共通処理をまとめられる

初期化処理をコンストラクタに書くと、複数のコンストラクタに同じコードを書くことになります。これを回避できるのがインスタンス初期化ブロックです。

{
    // 共通の初期化処理
}

2. 無名クラスでの初期化が可能

無名クラスではコンストラクタを持てないため、初期化処理を行いたい場合はインスタンス初期化ブロックを使う必要があります。

Runnable r = new Runnable() {
    {
        System.out.println("無名クラスの初期化処理");
    }

    public void run() {
        // 実装
    }
};

インスタンス初期化ブロックのデメリット

1. 可読性・保守性の低下

インスタンス初期化ブロックは匿名のコードブロックであるため、何の目的で存在するのかが一目で分かりづらく、初学者やチームメンバーが理解しにくくなります。

2. コンストラクタと混在することで混乱の元に

コンストラクタと初期化ブロックが同時に使われていると、実行順序や初期化の重複に関するバグの原因になりやすくなります。

3. Javaのベストプラクティスに反する

著名な書籍『Effective Java（Joshua Bloch 著）』でも、インスタンス初期化ブロックの使用は避けるべきとされています。理由はまさに、可読性と保守性に劣るためです。

初期化処理には何を使うべきか？

処理内容	推奨手段
簡単な定数代入	フィールド初期化
複雑なロジックや外部依存処理	コンストラクタ内で実装
複数コンストラクタに共通する初期化	プライベートメソッドに共通処理を抽出
無名クラスでの初期化	インスタンス初期化ブロック（唯一の選択肢）

✅ 推奨される設計パターン（例）

public class User {
    private String name;
    private int age;

    public User() {
        initialize();
    }

    public User(String name) {
        this.name = name;
        initialize();
    }

    private void initialize() {
        this.age = 18;
        // 他の共通初期化処理
    }
}